私は、今年、77歳になった。東京の大学に合格して、19歳の時に上京した。四国で生まれ育った私にとって、「東京」は強烈で、憧れであった。

東京に行けば、自分が思い描くことが実現できると思っていた。東京は、キラキラ輝いている。

それは、多くの人が、「夢」を持ってやってくる場所だから、光って見えるのかも知れない。

大学の入学と同時に東京へやってきた。田舎育ちの私にとって、憧れの地であった東京は、「生きる」ことの厳しさを感じた地でもある。

50余年、東京で暮らしているが、この厳しさは今も同じである。それだけ、競争率が厳しいからであろう。

成川、色々な経験をしてきた。アルバイトで明け暮れていた学生時代は、いつもいっぱい々の生活だった。でも、一生懸命、働いて、お金をいただき、生活をしてこられた。

それは、「感謝」する気持ちを絶対に忘れないようにすること！という親から教えてもらったことをいつも心に持っていられたからだと思う。

徳島で、商いを営んでいた両親は、いつも「ありがとうございます」、「有難いです」が口癖のような人だった。

私が上京する前、手広くしていた商いが厳しくなり、東京の大学へ行けるかどうか心配になった時、父が「大丈夫だから、東京の大学へ行きなさい」と言ってくれた。

亡くなって30年以上になるが、幼い頃から見てきた父の姿を忘れない。「ありがとうございます」、「有難いです」の言葉も忘れていない。

両親の教えのおかげで、私はいつも助けられていることに気づくのである。困った時、人の協力をいただいてきた。心構えの大切さを両親から学んだ。

おとうさん、おかあさん、ありがとうございます。

心構えは、回りまわるものなのだと思っている。

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