受験生に送る言葉

平川先生の小論文講座58―奈良県立医科大学(医学部医学科)2008年度―

[今回の過去問]
奈良県立医科大学(医学部医学科)2008年度 目標60分

次の文章を読んで、医療の不確実性についての患者と医師の間における認識の差が
どのような問題を引き起こしていると考えられるか、600字以内で述べよ。

※参考文は、著作権の関係で省略します。

[第58回]
今週も国公立の医学部・小論文の出題です。医学に関する一定の見解を述べた参考文書を読ませ、その設問文を踏まえて、見解をまとめる出題です。さあ、始まりです。

「難しく考えない。日常と結びつけて」

A子 「今日もよろしくお願いします」

平川先生「こちらこそ。さあ、今日から奈良県立医科大学(医学部医学科)の2008年度・過去問
の検討になります。さて、A子さん、患者と医師の考えの違いにつて、どんなことを思い浮
かべますか」

A子「『医療の不確実性についての患者と医師の間における認識の差』ですか、うーん。どう書
いたら、いいんだろう。見当がつきません」

平川先生「いやいや、難しく考えない。『どう書くか』といきなり飛びついては、ダメですよ。
いつも通りの対応をしましょう。医学部の小論文で聞かれているのは、何でしたっけ」

A子「先生が、何度も繰り返して言われていることですね。はい、論理的な思考力と、それに基
づく冷静な判断力です」

平川先生「そうですね。今回の問題も同じです。医療の現実における患者と医師の認識の相違、
それから生じる問題点です。何も難しくはありません。順番にいきましょう。まずは、
設問が何を言っているのか、つかむ。そして、日常的な事柄と結びつけて、後は『問
題文に沿ってまとめる』という視点を持つことが大切です。
たかが、入学試験、しょせん人間が作ったものですよ。できないわけがありません」

A子「はい、すぐに自分で難しく考えてしまって(べそをかきそうな顔をして、うつむきながら
話す)私、今年の入試で失敗したので、こんなことで、今度の入試は大丈夫だろうか、と
悪い方に悪い方に、すぐに考えてしまいます」

平川先生「確かに、来年の入試は絶対合格なんていえません。『合格するだろうか。また、
失敗するのでは』という思いは浪人生である以上、誰もが同じです。
今できることを、しっかりと進めるしか方法はありません。
でも、1つ確かなことがあります。こうして受験生として経験する心の葛藤が、あな
たが医学部に合格し、医者になったときに生きるのですよ。患者さんの身になって、そ
の気持ちに寄り添うことのできる医師になれるのです。あなたに、すがるような思いで
接する患者の苦しみが、分かる様になるのです。
今この時点から、医師になったときの訓練をしていると思えば、どうということな
い。頑張りましょう」

A子「(明るく、背筋を伸ばして)はい、何時も愚痴を言ってばかりですいません」

平川先生「いいえ、そんなことは気にしない。繰り返しになりますが、思い通りにならず、弱音
を吐きたくなるほど、つらいからこそ、人は同じように悩み、苦しむ他の人の気持ちが
分かるようになるのです。病にあえぐ人の治療においても同じ。人の痛み、苦痛が分か
らない者に、本当の医療はできません。大事な経験です。
さあ、問題の検討に戻りましょう。
設問文によれば、 『現代医学は万能で、あらゆる病気はたちどころに発見され、適切
な治療を受ければ、まず死ぬことはない』と多くの患者は、思っています。善い医師は
いわばスーパーマンで、病のすべてを解決してくれる存在と考えます。それに対して、医
師は、医療をどうとらえているのでしょうか」

A子「医者は、『医学には限界がある。医療行為は、生体に対する侵襲(身体へのダメージ)を
伴うため、基本的に危険である。人はいつかは必ず死ぬ』。だから、どんなに医療関係者が
努力しても、人の『死』を避けることはできないと考えています。したがって、どこか覚め
た目で見るようになります」

平川先生「ええ、そうですね。患者と医師との、このような意識の差から何が生まれると思いま
すか。」

A子 「苦しんでいる患者ほど、『医者は、どこか冷めている』『冷たい、期待外れだ』と、医
師への不信感を持つことになります。そして、医療に関して、不満を抱き、いわゆる民間
療法や宗教に期待する人達も出てきます。私の叔母も、難病で医療不信に陥り、あげくの
果ては新興宗教に引っかかって、叔父と離婚騒ぎを起こしたことがありました」

平川先生「うーん、現代医療に対する誤解と認識不足が、そんな事態まで引き起こしているので
すね」

A子 「はい、患者と医師の意識のすれ違いを、どこかですり寄せる必要がありますね。日頃か
らの患者と医師の間のコミュニケーションが、欠かせないと思います」

平川先生「そうですね。さて、おおざっぱに外観を見ました。患者と医師との医療の不確実性に
ついての認識の差異については、まず①現代医療に対してどう考えるのか、次に②治療
とはどういうものか、そして、③最後に、医療過誤をどうとらえるのか、という3点に
ついて差異があると思います」

A子「ええ、そうですね。この3点について、患者の側は十分に理解していないために、医療に
過度の期待を持ち、それが、時に『裏切られた』として、行き過ぎた医療不信を招いている
ということですね。だからこそ、医師としても治療におけるインフォームド・コンセント等
を初めとする、患者とのコミュニケーションが欠かせなくなっている、というまとめ方をし
たいと思います」

平川先生「そうですね、患者と医師との認識の相違を対比して、どんな問題が生じるのか、
まとめるというかたちで、答案構成をするとよいでしょう」

A子「はい、分かりました」

平川先生「さあ、そろそろ時間です。A子さん、来週までに答案構成を仕上げておいてください
ね」
A子「はい、今日はありがとうございました」

平川先生「こちらこそ、ありがとうございました。来週をお楽しみに」

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「いきなり書こうとしない。まず、答案構成をする」
英語のことわざに、
Slow and steady wins the race . (ゆっくり、確実にやれば試合に勝てる)
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日本語で言う、「急がば回れ」です。小論文も同じ。ただ書くことばかりに焦らない。まずは、参考文章は、どんなことが記述されているのか整理する。確実に、思考を整理するということです。その上で、問題文の問いに答えることが大事です。
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