受験

平川先生の小論文講座⑭

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夢を抱いて、実現する君よ!

本日は、平川先生の小論文講座第14回目をお届けします!

[設問]浜松医科大学(医学部医学科)2009年度  80分 750〜800字

「山本周五郎の代表作の1つに『虚空遍歴』という作品がある。その最後の場面で、主人公の中藤中也が死ぬ前に、夢の中の祖父の言葉だといって、付きそうという女性に語りかける次のようなことばがある。
‥‥‥死ぬことはこの世から消えてなくなることではなく、その人間が生きていた、という事実を証明するものなのだ。死は、人間の一生にしめ括りをつけ、その生涯を完成させるものだ。消滅ではなく完成だ。
この作品が書かれたのは、1961年から63年にかけてのこと、日本は高度成長に浮き足立ち、多くの日本人は病いや死のことなど考えもせず、ひたすら生の欲望を無限に追求することに狂奔していた時代であった。
それから30年、高度成長の申し子としての高度医療の達成を背景に、高齢化社会と慢性病の時代が到来し、私たちはだれもが病や死と否応なく向き合わざるを得ない時代を迎えた。(以下、略)」
(立川昭二『生と死の現在』142ページ 岩波書店、1995年より)

下線部に書かれているように 死が完成だとすると、医療はそれにどう関わって行くべきなのか。あなたの考えを750〜800字で書きなさい。

[これまでの話]
前回は、QOL(クオリティ・オブ・ライフ\Quality O f L ife )という視点から「生命の質」について、医療に従事する者は、患者の自己決定権を重視して、対応することが重要であることを確認しました。今回は、「生命の量」という面から、延命の問題を考えていきます。
(注)QOL(クオリティ・オブ・ライフ\Quality O f L ife)とは、人々の生活を物質的な面からのみ見
るのではなく,精神的な豊かさや満足度も含めて,捉える考え方をいう。

[今回(14回目)] 「『死』には、生命の『質』と『量』の2つの面が問題」

平川先生「『生命の量』という点では、どこまで人は生きるか、今回は、『安楽死』と『尊厳死』について、検討しなければならないね。
もともと、この考え方の根底には、『人が生きる』ということを、時間というスケールで計る発想が潜んでいる。
しかし、人間の価値を、何かの物のように、時間という尺度だけで判断することは、果たして妥当だろうか。
『生命の量』の問題は、医師を目指す君に、人の寿命をどう考えるかを、聞いている」

A君「分かりました。予備校では、ただ、入試に出る重要な論点としてしか、教えてくれませんでした。そんなに、大きな問題とは、思っていませんでした」

平川先生「患者は、医者であるあなたに、その身を委ねるのです。
君には、それにふさわしい人になって欲しい。
厳しいことを問われるのは、当然と考えてください。
では、2つの『死』に対する考え方は、どういうもので、どんな点が異なるのでしょうか」

A君「はい、
『安楽死』とは、
助かる見込みがない病人を苦痛から解放する目的で、延命のための対応をしたり、死期を早める処置をとることをいいます。
それに対して、『尊厳死』とは、同じように助かる見込みがなく長期間にわたって植物状態が続いたり,
激しい苦痛に悩まされ続けている患者に対し,
生命維持装置などによる人為的な延命を中止し,人間としての尊厳を維持したまま死を迎えさせることをいいます。

2つの違いは、『安楽死』が、積極的に生きることを放棄するのに対して、『尊厳死』は、人生の終末を消極的に受け入れる点です」

平川先生「そうだね、よく調べてきました。
では、どのように答案を書きますか。
答案構成を言ってみてください」

 

A君「ええ、まず、設問が『死が完成だとすると』とありますから、
1,として『死』の意義について、設問文を踏まえて述べます。
そのあと、
2,医療(医療関係者)の関わり方として、
⑴『生命の質』の面として、患者の自己決定権を検討します。
続いて、
⑵『生命の量』の問題として、
『安楽死」と『尊厳死』について、論述したいと、考えます」

平川先生「うん、定義、そこから導かれる問題点と、論理が流れています。
よい答案構成ですね。
A君、君も小論文の書き方が、かなり分かってきたね。
よいことだ。
この調子で、来年の医学部合格を勝ち取りましょう。

では、時間になりました。
次回は、いよいよ答案の完成です。ご期待ください」

[本日の講義のポイント]
「ポイントは、QOLの問題、そこから、検討すべき課題を導く」
QOLは、医学部•小論文の最重要論点です。
患者の命は、医師に委ねられている、という点を踏まえることが重要です。
あらかじめ、何が問題となるか、項目だけでも準備しておこう。

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