その他

平川先生の小論文講座87―秋田大学(医学部医学科) 2009年度―

 

[今回の過去問]
  秋田大学(医学部医学科) 2009年度   目標60分

 次の文章を読んで、以下の質問に答えなさい。

著作権の関係により、問題文は省略させていただきます。

設問1 文中の「ノーマライゼーション」とは何か、200字以内で説明しなさい。

設問2 「ノーマライゼーション」を実現するためにはどうすればよいか、あなたの考えを
400字以内で述べなさい。

【これまでの話】
 今週も引き続き、国立大学・医学部の小論文を検討します。

[第87回]

「字数オーバのときの対処法」

A子 「よろしくお願いします」

平川先生「こちらこそ。さて今回で『ノーマライゼーション』は、3回目です。前回、A子さんに答案構成を踏まえて、書いてもらいました。
 もっとも、字数が50字余りオーバーです。これでは本番で、採点してもらえません。
 早速、字数以内に納めてもらいましょう」

A子「はい、でもどこを削ればよいでしょう」

平川先生「字数オーバーの場合は、まず修飾語を削ることです。修飾語とは、語句の説明をする言葉です。文の流れで、なくても意味が伝わる表現は、バッサリ削除しましょう。次に、何度も繰り返される語句も、くどくなるのでカットしましょう」

A子「分かりました。やってみます」

〈資料 以下が、前回A子さんの書いた答案です〉
1、設問1について
 ノーマライゼーションとは、障害を「治す」のではなく、障害があってもなくても普通に暮らせる社会をどう作るのか、障害者、健常者の双方ともに対等な社会の構成員とする考え方をいう。
 障害を持つ子が、障害を克服するという内向きの考えはやめて、バリアフリーやユニバーサル・デザインの開発、普及を地域で行っていく外向きの発想である。
 この考え方の対象は、障害者ではなく、健康な人、つまり私たちである。
(191字)

2、設問2について
ノーマライゼーションの考えが生まれる前には、障害をどうとらえるかについて、「医学モデル」という考えがあった。
  障害をなくすことが社会の使命と捉え、社会適応することより、阻害する要因を取り除くことが大事だと考え、治療やリハビリテーションで、ハンデを克服することこそが、社会の健全化になると捉えた。
  しかし、この「医療モデル」の根底には、障害者は、健常者よりも劣っているという意識があった。そこで、「障害モデル」が主張された。この考えは、問題は、障害者自身ではなく、障害者健常者の間の環境にあるとする。環境を変えることが大事だと、主張する。

 このような発想をさらに発展させたのが、ノーマライゼーションである。
 障害者健常者と対等な存在として捉える。
その上で、もちろん治療も続けるが、障害者を拒む環境を改善していく。
 実現のポイントは、対等だという意識が、人々に根付くことである。その実現のためには、医療関係者の意識改革、教宣活動とともに社会都市として、バリアフリーやユニバーサル・デザインの開発、普及を図る必要がある。(454字)

次の文章が今回、書き直したものです。

1、設問1について
ノーマライゼーションとは、障害を「治す」のではなく、障害があってもなくても普通に暮らせる社会をどう作るのか、障害者、健常者の双方ともに対等な社会の構成員とする考え方をいう。
障害を持つ子が、障害を克服するという内向きの考えはやめて、バリアフリーやユニバーサル・デザインの開発、普及を地域で行っていく外向きの発想である。
この考え方の対象は、障害者ではなく、健康な人、つまり私たちである。
(191字)

2、設問2について
ノーマライゼーションの考え以前、障害については「医学モデル」というものがあった。
 不利な点をなくすことを社会の使命と捉え、障害者が治療やリハビリテーションで、ハンデを克服することこそが、健全化になると考えた。
  だが、このモデルの根底には、障害者は、健常者よりも劣っているという意識があった。そこで、「障害モデル」という思想が生まれた。障害者の直面する問題は、彼ら彼女ら自身ではない。健常者との間の環境こそが課題だとする。

 このような考えを、さらに発展させたのがノーマライゼーションである。
 障害者は、健常者と対等な存在と位置づけ療治も続けるが、障害者を拒む環境も改善していく。
 実現のポイントは、誰もが互いに助け合うという意識が、人々に根付くことである。
そのためには、医療関係者の意識改革、国民への教宣活動とともに社会環境として、バリアフリーやユニバーサル・デザインの開発、普及を図る必要がある。(393字)

 〈注〉ノーマライゼーション(normalization)とは、本来、人々が社会において共存して生活することをいいます。
    問題文では、筆者は当初、障害児の課題として、この命題を提起しつつ障害に対する考え方が、「医学モデル」から「障害モデル」への進展の中で、全ての人間の存在価値の問題と、捉え方を広げています。

A子「先生、できました。修飾の表現が、続いていた元の文の赤い部分を削りました。『障害』や『治療』の繰り返していた語句は、できるだけ別の表現に替えました」

平川先生「なるほど、スッキリして、以前と比べて、読みやすくなりました。

 『ノーマライゼーション』が、主張される背景は、何か。
人は精神的差異、肉体的差異にかかわらず、生まれながらにして、平等です。障害者、健常者の区別なく対等な存在として、当然に認められるべきだということです。
 A子さんの書いたものは、この点がちゃんと出ていました。
合格答案です」

 A子「はい、ありがとうございます(うれしそうに微笑む)」

平川先生「さて、まだ時間が若干あります。少しだけ、次回検討の問題をやりましょう。
 典型的な論点です。
 2014年久留米大学(医学部医学科)の過去問、『時代を見据えた理想の医師像』についてです。
 答案の柱を、考えてみましょう。
 さて、どんなことを述べたらよいでしょう」

A子「まず、『時代を見据えた』という点です。『見据える』とは、物事の本質を見定めること」と、辞書にはあります。そこから本問は、今の時代に適する理想の医師の姿を述べることになると、思います」

平川先生「そうですね。では今の時代とは、どんなものでしょうか。A子さん、どう考えます」

A子「うーん、少子高齢化で、高齢者が高齢者を介護する『老老介護』が、深刻な問題となっている時代です。国の財政も逼迫していて、何でも頼めばよいということは、無理です。国民の側でも、健康に対する自覚と努力が、必要な時世といえます」

平川先生「A子さん、よく考えていますね。国への要望もしっかり言いつつ、国民の側も健康に対して努力することが、強く求められていますね。
 さて、そんな時代の理想の医師とは、どのようなものでしょうか。

 次回は、この点について検討し、答案構成を完成させましょう。
そろそろ、時間となりました。今日は、ここまでとします。
来週もお楽しみに」

【今回のポイント】
「直前期こそ、基本に戻ろう」

 日一日と、入試が近づいています。焦って、朝から夜遅くまで勉強をしている人を、よく見かけます。先日も終電に近い車中で、つり革をつかみ、半分居眠りをしながら英単語を覚えている女子高生を、見かけました。

 焦る気持ちは、よく分かります。
でも、試験はこれまでの勉強の集大成です。疲れていては、その力も発揮できません。十分睡眠を取り、思い切って復習中心の勉強に、切り替えましょう。

 ということで、この講座も次回から2月の私大医学部入試までは、医学部・小論文で出題されそうな典型論点を中心に、連載していく予定です。
 皆さんの医学部合格に、少しでも役に立てることができれば、幸いです。

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