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平川先生の小論文講座84―岡山大学(医学部医学科)2007年度―

 

[今回の過去問]
  岡山大学(医学部医学科) 2007年度
下のグラフは、各国の平均余命(グラフ左)、および国民1人当たり医療費と医療の満足度の関係(グラフ右)を示している。この二つのグラフからどのような事柄を読み取ることができますか。さらに、医療における満足度について多面的に論じなさい(全部で600字以内)。目標45分



【これまでの話】
 前回から、岡山大学(医学部医学科)の問題を検討しています。
国立大学・医学部の出題に多い、資料を分析する問題です。

[第84回]

「分析して、まとめる」

A子  「今週も、よろしくお願いします」

平川先生「こちらこそ、よろしく。さて、いよいよ11月です。A子さんにとっては、耳にタコができるほど聞いただろうけれど、センターまで、あと2ヶ月ちょっとですね」

A子「ええ・・・」(「センター」の言葉に、急に暗くなる)

平川先生「緊張するのは、誰もが同じですよ。A子さん、じっくりやりましょう」

A子「はい、そうですね。背筋を伸ばして、しっかりやります」

平川先生「そう、その調子です。切り替えの速いのが、あなたのよいところです。今の苦労が、A子さんが医師になったときに役立ちますよ。
では、前回の答案構成に基づき、早速答案を書いてみましょう」
〈注〉答案構成とは、出題文で問われている事柄について、重要語句の定義、問題点を整理し、表にしたものです。答案として書くべき事項を、簡単にしたものです。

以下が、A子さんの作成した答案構成です

A子「はい、分かりました」

〈しばらくして、下記がA子さんが書いた答案です〉

まず、各国の平均余命(グラフ左)についてみると、2007年度において日本の平均余命は、80才ちょっとで、世界の長寿国の1つである。次に、国民1人当たりの医療費と、医療に関する満足度のグラフ(グラフ右)を検討すると、このグラフから分かることは、日本はイギリスやスウェーデンより若干医療費は高い。カナダやドイツよりも安く、年間4000ドル以上負担するアメリカの半分以下であることが分かる
戦後のわが国の医療制度のすぐれた点として、国民皆保険の制度が採られた点が指摘される。
なるほど、確かに医療に関する費用は安く済んでいる。しかし、もう一方で肝心の医療に対する満足度は70%以下である。医療費が日本の倍以上のアメリカでさえ、90%近くの人が満足しているのに、かなり低い結果だといえる。
日本の医療は、国民皆保険で国民1人1人の健康を図るという点では、平均寿命の伸びに見られるように、一定の成果は出ている。しかし、医療内容の質としては、利用者である国民のニーズに必ずしも答えきってはいないことを、示している。

 日本社会は、そのあと東日本大震災、熊本地震等の未曾有の災害危機を経験した。経済的・社会的にも行き詰まる状況を招いている。今年10月の消費税増税にみられるように、国民の負担増も覚悟しなければならない。さらに、日本の人口減少ともに進む高齢化社会も深刻な問題だ。
国の福祉関係費用は2007年と比べると、もはや無制限に増やすわけにはいかない状況にある。
医療の質を向上させるとともに、もう一方で患者自身の意識改革も必要である。
健康管理は、本来1人1人の自覚から始まる。国民が国の政策の不十分さを、ただ批判しているだけでは問題の解決にはならない。国、医療関係者、国民の三位一体になった協力関係が欠かせないと、考える。(737字)

〈注1〉日本は、2017年現在、84.10才、香港の84.68才についで世界第2位の長寿国です。他の国
も、アメリカの78.54才を除いて、2007年から2017年の11年間でいずれも80才を超えるまで
に伸びています。主要国で平均余命が、80才を超えるまでになりました。
〈注2〉平均余命とは、ある年齢の人々が、その後何年生きられるかを計算したものです。平均寿命は、
0才時における平均余命のことをいいます。

A子「すいません。字数がかなり超過してしまいました」

平川先生「そうですか。確かに、今回の問題は問われている内容からすると、記述のスペースが短いですね。しかし、その字数も出題者の意図です。ポイントを押さえた表現にするように、どう削除すべきか考えてみましょう」

A子「うーん、なんだろう。無駄な表現をカットすることでそうか」

平川先生「はい、そうです。むだな表現、特に強調しているような表現は必要ない部分もあるでしょう。例えば、上記文章の『なるほど、確かに』はいりませんよね。つまり、むだな修飾は省く、重なった表現はカットすること(上記、答案の赤い部分)ということです」

平川先生「そうですね。では、やってみましょうか」

〈しばらくして〉
A子「先生、できました」

平川先生「どれどれ、では見てみましょう」

〈以下が、書き直した答案です〉
まず、左のグラフから、日本の平均余命は、80才弱。世界一の長寿国であることが明らかである。
次に、右のグラフより医療費と、医療に関する満足度を観ると、医療費について日本は、イギリスやスウェーデンより若干は高いが、カナダやドイツよりも安い。年間4000ドル以上負担する米国の半分以下であることが分かる。国民皆保険の制度のおかげだ。
だが、一方で肝心の医療に対する満足度は70%以下である。費用が日本の倍以上のアメリカでさえ、90%近くの人が満足している。かなり低い結果だといえる。
以上から、日本の医療は、寿命の伸びに見られるように、一定の成果は出ている。しかし、治療内容は、利用者である国民のニーズに答えきっていないことが、明らかだ。
 日本は、東日本大震災、熊本地震等の未曾有の災害を経験し、経済的・社会的にも行き詰まる状況を招いている。2019年10月の消費税増税にみられるように、国民の負担増も避けられない。さらに、人口減少ともに進む高齢化社会も深刻な問題だ。
国の福祉関係費用は、もはや無制限に増やすわけにはいかない状況にある。
治療の質を向上させるとともに、もう一方で患者自身の協力も不可欠となっている。
健康管理は、本来1人1人の自覚から始まる。国民が国の政策の不十分さを、ただ批判しているだけでは問題解決にはならない。国、医療関係者、国民の三位一体になった協力関係が欠かせない、と考える。(582字)

平川先生「なるほど、平均余命のグラフ、医療費と医療の満足度のグラフの特徴を把握し、最後まとめる。うまくつながっています。合格答案です。
 どうです、A子さん、かなり医学部・小論文の書き方が分かってきたでしょ」

A子「はい、コツをつかむと難しくはないですね」

平川先生「そう、その通り。出題者の意図を知れば、あとは大丈夫。今回の資料がある場合は、資料に沿って答案構成し、論ずべきことをまとめればよいだけです」

A子「よく分かります。落ち着いて、深呼吸をして、設問に線を引いて、題意をつかむ。そんなところです」

平川先生「はい、それで十分です。
さて、そろそろ時間です。来週も国立大学・医学部の過去問を取り上げます。お楽しみに」

A子「よろしくお願いします」

【今回のポイント】
「焦りは禁物」

 毎年、入試まで2ヶ月ちょっとのこの時期。焦って、小論文の「簡に……」といったハウツー本に飛びつき、ひたすら答案を覚え込む人が出てきます。
いまさら、そんなことをやっても悪あがき。本番で、余計パニクるだけです。よい結果は、出ません。

 しかし、もし、やもおえない事情で勉強に集中できるのが、この時期になってしまった人がいたら、小論文の短期習得法をお教えします。
それは、あなたの第1志望校の過去問を2、3年分用意し、模範答案を最初は丸写しすることです。その上で、次に自分なりに書いてみることです。
その際、家族か友人でもいいです。それを音読して、誰かに聞いてもらうと、より効果があります。
あるいは、私のような小論文の先生に見てもらう。とにかく、同じ問題を繰り返して書き直してみる。そうすると、次第に論理的な流れができてきます。
2度、3度繰り返し書く中で、論理の進め方が分かってきます。

この講座で何度も、お伝えしているように小論文の出題者は、決してあなたの知識を、聞いているのではありません。
あなたの論理力、分析力を聞いているのです。
今からでも、間に合います。

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