その他

平川先生の小論文講座81―日本医科大学(医学部) 2009年度―

[今回の過去問]
日本医科大学(医学部) 2009年度
「医療における偏見」について考えることを600字以内で記述しなさい。60分

【これまでの話】
 今回から、日本医科大学(医学部)の1行問題を検討します。

[第81回]

「具体例を挙げて」

A子  「今週もよろしく、お願いします」

平川先生「こちらこそ、よろしく。来年2020年1月行われる最後のセンター試験まで3ヶ月余りとなりました。A子さん、勉強の進み具合はどうですか」

A子「はい、ボチボチです。周りの友だちは、各予備校の模試の結果に、一喜一憂しています。私は、焦ってもしかたがないと、自分のペースで進めています」

平川先生「はい、それでよいと、思いますよ。模試は、本番に向けての練習の場、そう思って臨めば十分ですよ。では、そろそろ今週の課題に入りましょうか」

A子「はい、分かりました」

平川先生「さて、A子さん、これから小論文を作成するにあたり、どんな答案構成をしますか」
〈注〉答案構成とは、出題文で問われている事柄について、重要語句の定義、問題点を整理し、表にしたものです。答案として書くべき事項を、簡単にしたものです

A子「まず、『偏見』という言葉の意味を述べます。この用語の内容が、明らかでなければ、話しは進みませんから」

平川先生「そうですね。皆さんの答案を見て、当たり前すぎて、往々にしていい加減になっているのが、言葉の定義ですね。問われている言葉の意味が分からなくても書くということは、予備校で配られる模範答案を丸覚えして書いているだけなんでしょう。採点者は、そんな答案は直ぐに分かります。言葉のつながりがないんです。覚えている言葉を、ただつなげているだけだからです。
A子さん、いいですね。それが、考えるということです。医学部・小論文の出題者が求めている合格者の資質です。では、『偏見』について述べてください」

A子「はい、偏見とは、偏った見方、ゆがめられた考え方や、特定の個人・集団に対して抱く、非好意的な意見や判断をいいます。例えば、女性差別、人種差別等が、その代表的なものです」

平川先生「そうですね。では、『医療への偏見』とは、どういう意味内容になるのでしょうか」

A子「特定の病気を有する患者に対する非好意的な意見・判断が、『医療への偏見』に当たると思います。具体的には、前回に平川先生が指摘されたハンセン病が、その代表例だと思います」

平川先生「ええ、その通りです。前回に紹介したように、1931年の「癩(らい)予防法」により、終身隔離・患者撲滅政策が強行されました。治療法が確立されつつあった1953年になっても、患者らの反対を尻目に強制隔離政策を永続・固定化する「らい予防法」が制定され、96年まで継続していました。このような経緯や、社会的偏見、生活基盤の欠缺(けんけつ)などにより、すでに完治した1,000人以上もが全国13カ所の国立ハンセン病療養所に、現在も暮らしています。
病への偏見、そんなものが21世紀の今日にも、依然まかり通っているのです。でも、何でこんな偏見が、これまでまかり通っていたんでしょうか。出題者の題意は、ここにあります。何だと、思います」

A子「うーん、何だろう。ハンセン病の例から、考えると、そうか。知らないことですね。病気そのものに対しての正しい知識がなかった。ハンセン病は、皮膚感染で、少しで接触したら病気に感染すると、信じられていたと祖母から聞きました。無知と誤解が原因ですね」

平川先生「そうです。その病について知らない。そして、いつの間にか聞く誤った情報に惑わされ、そんな誤った情報を信じる。それが医療における偏見の原因です」

A子「無知と誤解が、偏見を生む。だからこそ、『医療における偏見』について、医療関係者は、ハンセン病のいたましい例を肝に銘じて、病気に対する正しい情報を発信し、人々を啓発する役割を持っているということですね。特に、今の時代、snsで、誰もが一瞬にして世界に情報を発信できます。フェイク・二ユースの弊害も、ここ最近問題になっていますものね。医療を志す者の役割は、これからますます大きくなりますね」

平川先生「そうですよ、A子さん。来年医学部受験に、合格したら、ここで学んだことを、ぜひ世の中に還元してください。期待しています。では、A子さん、答案構成を完成させましょう」

〈以下が、今回の議論を元にA子さんが作った答案構成です〉

平川先生「さて、そろそろ時間になりました。次回は、この答案構成を元に答案を完成させましょう。来週もお楽しみに」

A子「はい。今日は、ありがとうございました。来週も、よろしくお願いします」

【今回のポイント】
「模試の結果に一喜一憂しない」
 後、センター試験まで3ヶ月弱。どうしても気にするのが、模擬試験の成績。しかし、模擬試験は所詮、予備校の作る本番をまねた問題です。本番そのものではありません。模試は、本番同様の環境を体験するシュミレーション。そして、自分の弱点発見の場と割り切りましょう。本講座でもやっている過去問が、本番までに解けるようになればよいのです。出題者の意図に応える事ができればよいのです。そう割り切りましょう。
「いや、でもやっぱり、模試の点数がこんなんじゃ」と、気にするあなた。
でしたら、今からでも遅くない。センターの過去問3年分を、1肢、1肢理由が分かるまでやってみてください。少しばかりしんどいですが、出題意図が分かり、何を補ったらよいか見えてきて、短期間に力が付きます。
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