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平川先生の小論文講座68―横浜市立大学(医学部医学科)2009年度―

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[今回の過去問]
横浜市立大学(医学部医学科)2009年度 目標60分

末期がんの患者さんに対する医療についてあなた意見を1,000字以内にまとめて述べなさい。

【これまでの話】

前回から、横浜市立大学の過去問の検討をしています。今回は、その2回目です。

[第68回]

「告知は、治療の第1歩」

A子 「よろしく、お願いします」

平川先生「こちらこそ、よろしくお願いします。前回、本問では、患者の自己決定権を重視して、
    治療を行うことが大事で、治療と看護の2つの面における配慮が欠かせない点について、
    答案構成をしました。今回は、その柱の整理に基づき、小論文を書き上げます。
    では、早速、始めましょう」

A子「はい、分かりました」

  (しばらくして、下記がA子さんの書いた答案です)

1,告知は治療の第一歩
 末期がんの患者に対する医療では、医師と医療スタッフが、通常の病気の治療以上に大きな役割を果たす。
まず、病名の告知をすべきか、どうかが問題となる。
 「個人の尊厳」から、患者の自己決定権が重要である。そこで、患者への病名の告知が、どんな場合にも不可欠のようにも考えられる。しかし、実際には病名を告知され、自分の残りの人生がわずかであると知らされて、冷静でいられる人間はいない。本人への慎重な配慮が必要である。精神的なサポートが、欠かせない。
そこで、病人への告知にあたっては、家族の協力も欠かせない。
 「告知は、がん治療の第1歩」そんなことを、ある医療関係者が言っていたが、その通りだ。自身の姿をしっかり捉えられるように周りが支えることが、大事だ。自分のありのままを見据えることができてこそ、治療が始まる。時には、その一歩を病人自身が踏み出すためには、周りが少し待ってあげることだ。末期といわれて、多くの人は、先が見えなくなり自暴自棄になる。しかし、そのうちに次第に落ち着き、これから先のことを考え始める。末期がんの患者の治療には、周りが粘り強く支えることも、治療の一環と考えるべきだ。
 また、家族の精神的な支えと伴に、医療スタッフの存在も欠かせない。
ともすれば、気分が落ち込みふさぎ込みがちな患者に、ちょっとした声かけをするだけでも、気持ちを楽にすることになる。つらい痛みが、和らぎ、前に進む勇気が生まれる。

2、どのような医療を選択するか
 告知を踏まえ、次に、どのような医療を選択するかが、問題となる。
 治療は病人が、医療行為と看護に十分納得するものとなることが欠かせない。
満足できる説明と患者の理解ということから、インフォーム・ド・コンセント(説明を受けた上での同意)を踏まえたものでなければならない。
 本問では、病人は末期がんであることから、本人への医師の説明は、患者が①延命治療を望むのか、それとも、②緩和治療の選択をするのかを考えさせる必要がある。
 延命治療を選択した患者は、つらい治療が開始される。これまで以上に、医療スタッフの協力の下に、家族の支えが重要になる。
 積極的な治療を望まず、痛みを緩和するだけの医療を望む患者についても、家族の支えは不可欠である。医療関係者は、家族とも協力して穏やかに余生を送れるような手厚い世話を心がける
ことが、大事である。(898字)    
                                 以上

 平川先生「なるほど、末期がんということから、まず、告知すること自体が問題となりますね」
 
A子「はい。がんは、今日、誰もがかかる可能性のある病気と捉えられるようになりました。
  それでも、末期がんというのは、本人にはショックです。だから、最初に告知について、
  きちんと述べるべきと考えました」

平川先生「ええ、そうですね。次に、どのような治療を選ぶかが課題ですね」

A子「はい、少し抽象的な論述になっているかもしれません」

平川先生「うん、そうですね。後半のどのような治療をするのか、もう少し具体的に書く必要
    があると思います。抽象的で、理解しにくい印象があります」

A子「確かに読み直すと、あいまいな感じがしますね」

平川先生「あとは、表記ミスです。最初の部分を見てください。どうですか、気付きませんか」

A子「えっ、何でしょう。分かりません」

平川先生「『告知』という言葉です。5行の間に、3回も使われています」

A子「あー、本当ですね。全く、気がつきませんでした」

平川先生「少し、細かいかも知れません。しかし、採点者は、A子さんのことを、この小論文だ
    けで判断するんです。その場合、必要以上にくどい表現や誤った描写は、直しておくべ
    きではないでしょうか」

A子「そうですね(ちょっと、ショックを受けた様子)。この答案だけで、判断してもらうん
 ですものね。できるだけ、ベストのものにしなければ」

平川先生「ええ、そうです。表記については、この時期ぐらいしか直せません。年末、年始は、
    センター対策で頭がいっぱいです。今のうちに、正しい小論文の書き方を、内容的なも
    のだけでなく、形式的な部分も含めてマスターしておきましょう。
     さて、そろそろ時間です。来週は、完成させたA子さんの答案に訂正部分がないか、
    考えてみましょ、結構、直すべき点がありそうですね」
 
A子「えっ、そうですか(少し、落ち込んだ様子)分かりました。今日は、ありがとうございま
  した」 

【今回のポイント】
「表記上のミスは、正す」
 慣れてきたので、つい表記について、おろそかになりがちです。
素早くやると同時に、文中のことばづかいや表記にも、注意しましょう。
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