先頃亡くなった、俳優の森繁久彌さん。映画「社長シリーズ」「駅前シリーズ」や舞台『屋根の上のヴァイオリン弾き』などが有名だが、わしにとって思い出深いのは、『野口雨情』『暖簾』『夫婦善哉』など、しんみりした静けさのなかに芯の強さを感じる映画作品だ。当時、わしはロンリーな中学生、森繁さんは40代前半だったと思う。ドタバタや立派すぎるものは、どうもわしの肌には合わないらしい。
それともう1つ、忘れてはならないのは、NHK第1放送のラジオドラマ「日曜名作座」。出演は森繁さんと女優の加藤道子の2人だけなのだが、1人5役も6役もこなす、まさに名人芸! わしにとっての代表作は、ズバリこれです。
今から20年ほど前、伊豆・今井浜の旅館に投宿したときのこと、玄関先を塞ぐようにでっかいリムジンが停まっていて、「いったい、誰が来ているのだろう?」と思っていたら、大浴場で森繁さんにばったり出くわした。虚に生きる俳優に生々しい場面で声をかけるのも野暮、先方にも迷惑と、ドキドキしながら素知らぬ顔をしていた思い出がある。
話しかけなかった理由は、それだけではない。テレビなどで拝見する姿と、あまりにもギャップが大きかったのだ。70代の半ばだった森繁さんは、ひどく弱々しく見えた。人前に出るときには、相当な準備をされていたのだろう。
人生の最後まで現役であり続けた偉大な先達に、合掌。
【合格方法一本勝負!】
Q:年間最多勝を更新した白鳳は、見事! しかし、相撲ファンとして、この煮え切らなさは何?(社労士志望・神奈川県Tさん)
A:「ニッポンの国技」と言うな!
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