いよいよ、この21日から裁判員制度が実施されるが、NHKなどが行った直前の世論調査では、5割超から7割程度の人たちが、同制度に対して、消極的・否定的な考えを示した。この数値は、以前よりも増加しているという。制度の周知が進むに従って、国民の腰が引けていった格好だ。
参加したくない、あるいは裁判員制度そのものに賛成できない理由としては、「感情に左右されて、的確な判断ができるかどうか、自信がない」という点が大きいようだ。対象となるのが、重大な刑事事件であり、量刑もそれ相当になるため、被告人の人生や、被害者とその関係者の人生に、多大な影響を与えることを考えると、もっともなことだと思う。二の足を踏むのは当然だ。わしだって、直截に尋ねられれば、「自信がない」と答えるしかない。
しかし、裁判員制度の意義はまさに、この「自信のなさ」にあるのだ。
「裁判の民主化」という方向性が打ち出された背景には、法曹という一部の専門家が、専門的に、半ば機械的に、場合によっては独善的に案件を処理することに対する危機感がある。社会的な合意である正義を実現していくためには、法律専門家の力だけでは限界があるのだ。ハッキリ言ってしまえば、たとえどれほど優れた専門家であっても、「的確な判断を下す自信がある」と思うのは、傲慢、僭越なのであって、結果的に、正義から遠のく状況を招くだろう。
私たちに求められているのは、「人を裁くことに対する自信のなさ」に、できるだけ誠実に向き合うことだ。「そんな面倒はゴメンだ」と思うのが普通だろう。かといって、日本国民として、他人に押しつけておいて済むことではない。私たち自身、いつ、「当事者」になるか、わからないのだ。
裁判員制度については、これからまだまだ問題が出てくるだろうが、性急に正解を求めることなく、地道に改善を続けていくしかない。もし、参加を呼び掛けられれば、「自信がない」わしは、真摯な気持ちで参加するつもりです。
「世の中に絶対的なものなど存在しない」「何ごとも自信のないところから、少しずつ改善していくことである」「それが社会であり、人生である」。
<人生一本勝負!>
Q:緊張感が1週間、持続しないのですが……。(司法書士志望/京都府Sさん)
A:「週に半日のオフ」にする。それで足りないのなら、「3日に3時間のオフ」を試してみる手もある!