大阪へ出張に行ったときのこと。郊外にある大学で教授をしている知人と昼食を共にした後、一人で近所を散歩してみた。商店街の半分近くはシャッターが下りていて、今や日本全国で見られる光景がそこに。自転車屋さんの店先でペタッと座り込んだ50歳ぐらいのオバサンがジロジロ見上げてくるので、「なんだ、感じ悪いな」と思いながら目を逸らして通り過ぎ、外の鉢植えに水をやっていたカメラ屋さんのご主人にそれとなく尋ねてみると、その自転車屋はみんなに「関所」と呼ばれているという。あまりにもヒマだから、店の前を通る人全部を厳しくチェックして、あることないこと言い触らすのだそうだ。
「ここらの若い人は、絶対に関所は通りません」と、ご主人。「プライバシーが確保されない限り、道州制や地方分権はありえない」が持論のわしとしては、日本の夜明けはまだまだ遠いと思わざるを得ませんでした。
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