ある日の夕方、所用で横浜に行くことになった。いつもは、私鉄を使うのだが、この日は、東京駅からJRに乗った。運よく座れたので、ゆっくり、書き物をし始めた。品川駅を過ぎたころから、前に立っている50歳位の身なりのいい紳士が、わしの目をジロジロ、見つめているのである。「以前の、わしの教え子かなあ」と思ったりもした。こちらは、気にせず、そのまま6BのエンピツをA4のメモ用紙にすべらしていた。それから、15分ぐらいたっても、まだ初老の紳士は、せわしなく視線を送ってくるのである。「おかしな男だなあ。東京には、いろんな人間がいるから、ほおっておこう」と決めた。ところが、電車が曲がり角にさしかかり、車内が少し揺れたときである。くだんの男の体が、わしの前に向ってくるのではないか。「この野郎、やる気か」と、身構えた。
男は、すばやく、わしに耳元に自分の右手の平をもってきて、ささやくのである。「すみません。ズボンのチャックがあいていますよ」。「アッ」とっさに、「どうも、すみません」とわし。恐縮、恐縮。「社会の窓」を閉めた後、2・3回、紳士に頭を下げた。
この数年、冬場に、ときどき、この種の失態を犯すことがある。その理由は、こうである。わしの冬ズボンは、特殊である。普通のズボン生地に、べったり下着の布がくっついている作りの防寒用ズボンなのだ。「社会の窓」が二重窓のような構造になっている。外側の窓があいていても、本人は寒さを感じないので、無作法に気づかない。
この冬、わしは、あと2~3回、公然と失礼をすることになるかもしれない。あ~あ・・・。
なお、本日午前4時更新の「司法試験(新司法試験)・予備試験ブログ」は、司法試験(新司法試験)・予備試験の受験生以外の方々にも参考になるので、是非ご覧いただきたい。
Q:「車中で、急に大きな声を出す男性がいる。対処に困ることがありますが・・・」(今の会社を辞めようかと、迷っている女性・35歳)
A:「まず、その男が凶暴性があるかどうかを見極める。危ないと思ったら、別の車両に移る。大丈夫と思ったら、その男の近くの席に座って、静かに読書したり、思考を楽しむ。男の近くの席は、通常、空いているから」
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