以前、「”コンプラおじさん”が増えている!」と警告を発した。寅さん映画でおなじみの「タコ」社長のような、気のいい中小企業のオッサンまで、「コンプライアンス(法令順守)」という言葉を、事あるごとに口にするようになってきたのだ。
もちろん、法令を守ることは社会人として、社会的存在である企業として大切だが、「法令を楯に取ったような、契約社会のマイナス面が出てこないか」と、わしは心配になったわけだ。
そのことを、この日記に書いたところ、方々から、「まったく、その通り!」と、同意の意見が多数、寄せられました。例えば、わしの知り合いの51歳の男性。彼は、コンサルティング会社に勤務しているのだが、取引先の多くで、「日に日に、硬化するような態度」を、よく見かけるという。
「先日も、びっくりすることがありました。長年お付き合いのあった、売上20億円ほどの中古パソコン販売会社の場合です。社長さんは私と同世代で、仕事に対する姿勢も、『まずは無理せず、できることから、1つひとつ、確実にやっていく』という考え方で、非常に気が合っていたのですが、急に、『面談の内容をすべて、うちの顧問弁護士や監査役に、逐一、報告して、チェックを受けてくれ』と言い出したのです。もちろん、法令に抵触しないように気を配ることは重要で、私の職務でもあるわけですが、いかんせん、過剰反応のきらいがあります。ビジネスのダイナミズムや、『仕事を共にする人たち同士の温かみ』といったものが、損なわれているような気がするのです。『コンプライアンスという言葉が一人歩きして、逆に、アメリカ型の訴訟社会を招かなければいいが……』と、ちょっと不安に思う今日このごろです」。
日本人が本来持っている「人の良さ」が、法令によって縛られて、無味乾燥なものになってしまうとしたら……それは、社会にとっても、法にとっても、不幸なことだとわしは思います。
<人生一本勝負!>
Q:取引先の社長さんが、先生の『期即連』(PHP研究所)を、「これはいいぞ!」と奨めてくださいました。どこかでつながっている、縁とは不思議なものですね。(司法書士受験生/男性33歳)
A:心を込めて、「いい仕事、いい勉強をしよう」と努めていれば、必ず良縁に恵まれると、わしは思うぞ!