公認会計士を目指している32歳の受験生から聞いた話。彼は未公開株販売を扱う会社でアルバイトをしているのだが、働き始めてからここ3年のうち、公開されたのは「ゼロ」だという。つまり、市場とはほとんど名ばかりで、かつてのＩＴバブルのときにはそれなりに機能していたが、リーマン・ショック以降も続けているのは、いわば残党組。公開されないのだから、株主にはなれても、キャピタル・ゲインはまったく期待できない。それでも会社は、社員やアルバイトを抱えて、それなりにやっていけているのだから、ビジネスは奥が深いというか、まったく薄っぺらなのか、時々よくわからなくなるそうだ。
ところが、である。先日、生まれ故郷の関西に帰省したときのこと。父親がまさに未公開株に手を出していて、1,200万円ほど損をしていると聞かされた。名ばかりの市場を支えているお客さんが、身内にいたわけだ。びっくりした彼は、業界の内部事情をこんこんと説明したが、父親はまだやると言って聞かない。その後も、たびたび母親から電話がかかって来て、「お父さんを何とか説得して」と懇願されて話をしたのだが、罵り合いになってしまって、以来、父親とは一度も口をきいていないという。
「父に言わせれば、銭金の問題ではなく、『夢を買っている』ということになるのでしょう。でも、頭と体を動かさず努力もせず、他人任せの夢なんて、あるのでしょう」と彼。実務にも直結する論点だから、合格してからじっくり取り組んでもらいたいものです。1週間くらいたって、彼から電話があった。「あの会社はやめました。生計のためとはいえ、詐欺まがいのことは、もうできない」。
なお、本日午前4時更新の「新司法試験ブログ」は、新司法試験の受験生以外の方々にも参考になるので、是非ご覧いただきたい。
【合格一本勝負】
Ｑ：原発の是非に、国民投票を！（弁護士志望・大阪府Ｗさん）
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