タバコが値上がりして、その売れ行きや喫煙者の動向が注目されているが、タバコに関してちょっといい話がある。今から50年ほど前、わしが大学1年生だったとき、選択科目でフランス語の授業を取っていた。先生の名は、山内義雄。聞いたことはあるかな? 有名な仏文学者で、『チボー家の人々』の訳者でもある。当時、65歳くらいだったと思うが、人目を惹く白髪に黒眼鏡。そして必ず講義には30分遅刻。学生にはありがたい存在で、みんなも先生に合わせて毎回遅刻だったが、それでも小教室は定員の50名程でいつも満杯だった。というのも、授業が強烈に面白いのだ! 入ってくるなり、タバコのピースを取り出して、教壇の上でポーン、ポーンと葉を寄せてから、プカーとうまそうに一服。それから滔々とフランスの話が始まる。それも、あっちこっちに脱線しまくりで、聞き手を一瞬たりとも飽きさせないのだ。テキストを読むのは最後の5分か10分で、講義のほとんどは雑談だったが、わしがこれまで受けた中で最も印象深い講義だった。しかも、山内先生、フランスには1度も行ったことがないというではないか!
今から思えば、「粋なサムライ」という風情。こんな先生がもっと多くなれば、教育現場の風通しも良くなるのだが。
山内先生。たぶん遠い雲の上で、プカーとピースを喫いながら、「パッとしない社会になったなあ」と、言われているのではないか。
【合格一本勝負】
Q:「時間がない!」と、もう2度と言いません!!(検察官志望・大阪府Dさん)
A:そう! そんなことを言ってるヒマはない!!
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